『社会人百合アンソロジーRouge』鹿嵐さんの想いが詰まった夢と信念の一冊!

同人誌

社会人百合…それは学生百合ともまた違う輝きを放つ大人の魅力。
かつて紹介したシュガールームでお馴染みの鹿嵐先生が
欲しいという思いで具現化したアンソロジーがこのRouge(ルージュ)です!

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総勢11名の豪華作家陣…つまりこのドリームメンバーで
サッカーチームが作れると思えば凄さがわかってもらえると思う。

100ページに込められた熱き社会人百合の波動

導入も結末も様々な社会人百合が100P。
まさに人の数だけ物語がある。ザ・ゴールデンヒストリー
会社でも自宅でもbarでも、どこだって百合の花咲く場所になるんだ!

紅茶とミルクティ

トクヲツム先生の「紅茶とミルクティ」
休憩時間の給湯室でのひととき。

お弁当箱を洗う水元ちゃんと、紅茶を淹れに来ている先輩。
そんなある日、先輩は水元ちゃんに彼氏ができたか聞いてくる。
先輩から見れば最近かわいくなったというか、雰囲気が恋してる感じに変わったとのこと。
彼氏できた?水元ちゃん可愛くなったから冗談めかして聞いてみたものの、事の詳細を伝える時の先輩には
本当に彼氏がいたら不安だった気持ちを感じる。髪の毛で表情が見えない横顔で特に。

恋してる感じだったのよね恋してる感じと言われた水元ちゃんは
そう言われることで先輩に恋してる自分に気付く。
ここまできたら給湯室はもう2人の世界(しかしながら休憩時間終了)

先輩の「やっっっといちゃいちゃできるのに…」という台詞から
兼ねてから水元ちゃんとの接触を意識して、給湯室に来てたなというのがわかります。
好きな人とはちょっとでも接する事ができるタイミングを狙って行きたいですもんね。
冒頭で「最近ではもう一人」とあるので、もしかしたら給湯室に行く理由付けで
先輩は休憩時間に紅茶淹れだしたとか考えちゃいますね。

知らない顔、見せない顔

発行者である鹿嵐先生の「知らない顔、見せない顔」
会社から掛かってきた電話に出る恋人の一面に惚れ直すお話。
折角のお休みに生憎の天気となり、ぶーたれる眞那。
せっかく有休とったのにそんな時に掛かってくる会社からの電話。
出たくなさMAXの眞那だけど、最終的には出ないわけにはいかない。
デキる女のオーラ一息吸って目を見開くと切り替わった仕事モード。
デキる女オーラといつもより落ち着いた低めの声。
おバカだと思っていた眞那の知られざる一面にきゅんきゅんする香純さん。

わかる。こういうギャップはずるい
香純さんが普段見ることが無い顔だからレア。
逆に眞那の会社の人は、電話にでたくないと駄々をこねる眞那を知らないギャップ。
香純さんが惚れ直すのも無理なきこと。
考えながら髪の毛もしゃもしゃ遊んでる眞那かわいい。

好きそして眞那に見せないとこで悶えてる香純さんも最高。
これ逆に香純さんは眞那にクールな女性と思われてそうだから
悶え香純さんは眞那が知らない香純さんの一面になるんだなぁ。

好き好きオーラ全開の眞那と、隠れ好き好きの香純さん。
この二人なら雨の日に出かけても、どこでも楽しい時間が過ごせる事でしょう。

魔女のお仕事

缶乃先生の「魔女のお仕事」
ちょっとした魔法が使える薬剤師の先生と事務のもなみさんのお話。

先生が魔女かもしれないと、疑念が生まれているもなみさんですが
普段から先生は物を浮かしたり、光を灯したりと
まったくもって隠しもせずに魔法の力を使っていたので
逆に週5も一緒にいて普段何を見ているのか聞かれる事に。

顔の記憶しかない魔法より先生の顔しか記憶に無いと言い切るもなみさん。
顔が良いに魔法は負けてしまうのか…
確かにそうかもしれない。

そして先生がぼんやりと心を読んでみると
もなみさんはどうやら恋をしているらしい。
今までの言動を総合して考えると、お相手は先生らしい…?

妄想を語らないでとSTOPを掛けるもなみさんですが
自己証明出るわ出るわ、先生に対する顔以外の興味関心。
そこまで自分で証明していいのかQ.E.D

もなみさんみたいなタイプって、例え心が読めなくても
誘導尋問とかすれば勝手に自白しそう!

桐谷さんと佐々木さん

北尾タキ先生の「桐谷さんと佐々木さん」
社長の愛人との噂がある新人佐々木さんと、彼女に片思いしてる桐谷さんのお話。

佐々木さんにはゴシップ大好き社員による
社長の愛人説が噂されていた。
何でも二人で食事している所をみたとかなんとか。
私の片思いが浮かばれない仕事熱心な佐々木さんを気に掛けて当然という桐谷さんは
もちろん毎年定番のゴシップネタを信じるという事はしなかった。

あるとき会社に社長の奥さん来襲し
佐々木さんを匿うように桐谷さんは社長からお願いされる。

桐谷さん悲しみの察しですが
佐々木さんとしては誤解された上に早合点で諦められてはたまらんと
壁ドンスタイルで食って掛かる。
諦め早くないですか!?佐々木さんの方が背が低いっぽいんで、壁ドンする手が水平じゃなく上向きになるのイイ。

結果としては、佐々木さんが母親に内緒で父の会社に就職してた事がバレて
社長の娘という立場から、世襲制を許さないお母さんが乗り込んできたというもの。
愛人疑惑というのも、単に父親と外食であった。

疑いは晴れて、両想いだけど毎日親と会うのも付き合いづらいなと桐谷さん。
そんな事を言わずに社長夫人になりましょうと佐々木さん。

佐々木さんは世襲する気マンマンで、同性婚にも福利厚生つけると
既に社長として活動する未来を見据えている様子。
彼女は噂を利用して桐谷さんに慰められるしたたかさを持ち
形勢が危ういとなれば攻めに転じる判断力を持っているから
社長になっても上手くやれそうな予感がします。

勤務時間外恋愛

やまもとまも先生の「勤務時間外恋愛」
戸締まり中の部長が事務2人のイチャイチャ現場に遭遇するというお話。

「今日一日どれだけ辛かったかわかる?」と東さん。
同じフロアに十何時間傍にいて西村さんに触れないのが拷問に近いらしい。
いっそ別の部署なら良かったと愚痴をこぼす。

それに対して「私のこと大好きなせいで、つらい想いさせてごめんね?」という西村さん。
つらい想いさせてごめんね西村さん絶対に恋人の舵取り上手いわ…
こんなこと言われて甘えることができたら疲れ吹き飛ぶでしょ?

注意しなきゃそんな2人の顔が近づいてなところで部長がどでーんと転倒。

翌日に2人は部長にお詫びに行きますが
部長は何も見てないし、何も知らないし
東さんが移動を希望していることしかしらないとのこと。

部長って赤くなっちゃって、これは恋愛経験ない系部長ですわ(何
そしてこれを機に勤務時間外労働が禁止になったそうな。

部長ってコケて額怪我するほどおっちょこちょいな所あるし、地味系女子だから
個人的には年下のしっかりしたオシャレな子がお似合いな気がします!!

TOKYO 迷子 DAYS

りーるー先生の「TOKYO 迷子 DAYS」
SNSで出会った恋人たちがオフで会うお話。

カノジョができそう初デートでお互い初顔合わせという所ですが
会ってみたらあらあら?
なんと2人は知らぬ顔ではなかったのです。
しかしながら、学生時代はほぼ接点がなかったようですが
お互いに女の子が好きということに感慨深い様子。
女の子好きやったんや…知っている人だったからか
相手に会う前は緊張していた2人も良い具合に気が抜けたようで
仕事のことについてのお話とかが出来てる。
1人東京に出てきてさみしかった気持ち
同じ目線の2人だからこそちょうど良い出会いだったのかもしれない。

オガワさんと私

ねが先生の「オガワさんと私」
同僚が結婚で休みだと知らされて色々と思うお話。

プライベートで遊ぶことはなかったものの
昼食や夜飲みに行って愚痴を言い合ったりするくらいの仲ではあった2人。
仕事の愚痴を言い合ったり海外ウェディングでハワイという事を知って
挙式プランや時差を考えて、今頃は…という事を考え黒い感情が沸き起こる。
オガワさんにも生々しい生活があるという事実。

一週間後に何事もなく戻ってきた旧姓オガワさん。
知らぬ間に彼女の事が大好きだったわたしは
「オガワさん」がずっと失われるのを祈るのであった。

ということで、気付いた時には失恋していた百合でございます。
黒い感情を自覚して知らない間に大好きだったと気付くという。
でも旧姓オガワさんに会うと黒い感情があっさり浚われる
つまり旧姓オガワさんは光属性…?

左手の薬指に何グラムか質量を増やして「左手の薬指に何グラムかか質量を増やして」とか
「オガワさん」がずっと失われるのを祈るっていう言い回しがイイ。

結婚指輪とは言いたくないし、彼女の幸せを願うとも素直に言えない感情。
ただ彼女が離婚して旧姓に戻る事が無いように
オガワさんがずっと失われる事を祈るという祝福法。

直接的ではなく遠回しな表現によって
黒い感情が浚われたとはいえ、素直なお祝いの言葉はすぐ贈れないみたいな心情が伝わります。
人間の感情は切り替えが簡単なスイッチじゃないんだ。

言えない言葉

アジイチ先生の「言えない言葉」
大学の頃は女の子相手にブイブイ言わせてた麻美と
言えなかった言葉をついに言えた淳子のお話。

会社の後輩に先輩となら付き合えちゃうかもと言われる麻美。
大学時代なら付き合ってみる?と軽く言えた言葉が今は言えない。

二日しかフラれ休暇ない学生の頃なら、ノンケでもお試しで1回くらいOKしてくれる子もいたが
社会人になるとフラれても傷心を癒やす休暇が取れないとのことで
ゆっくりヘコんでる時間がないと控えてる様子。

淳子はフラれなきゃ休暇を取る必要もないということで
「自分のことを好きだって言う相手とつきあえばいいのよ」と提案。

そんな都合のいい話あるわけないと言う麻美の話を遮って
淳子による不意打ちのキス!!!
そして「私とつきあってみてよ麻美」と告白。

麻美が大学の頃に言えてた言葉は
淳子にとってはずっと言えなかった言葉。
こっちはずっと言いたくても言えなかった言葉まさに言うタイミングとしてはバッチリ。
あの話の流れからのキスなんて、卑怯と言われるほど効果はばつぐんだ!
そして淳子はフラレ休暇を取る必要がない結末を迎える事ができました。

麻美は大学時代は色んな女の子に告白して
フラれたり付き合ったりしてたんだろうけど
その間は告白できなかった淳子はめちゃめちゃヤキモキしてただろうなぁ。

このペアは大学時代は淳子の片思いモノで展開して
社会人編のこのお話で成就するという所まで楽しめますね。

デパートメント

秋津那由子先生の「デパートメント」
化粧品売り場の女性と、エレベーターガールのお話。

エレベーターが開くとき、トモエとマリは顔を合せる。
仕事終わり、どうやらトモエさんは機嫌が悪い様子。

そのリップ似合わないのどうやらマリのリップが似合わないと思っているらしく
早く着替えて選ばせなさいとのこと。

鏡の前に座らせたマリに似合う色を選ぶトモエ。
選んだのはコーラル。
コーラルその選んだ口紅をトモエさんは自分の唇に塗ってマリに口づけ。

トモエさんは自分に似合うものを選ぶのが上手いとマリ談。
この方法だと必然的にトモエさんも同じ色の口紅ですからねぇ。
仮にマリに似合っても自分に似合わない色は選ばなさそう(偏見

しかしまぁ、下着姿でこんな方法で口紅移してたら
そのままの流れで大人タイムに突入するでしょ。
ボブは詳しいんだ。

そして翌日、仕事中にコーラルの口紅をしたマリを見たトモエさん。
「ベージュの方がよかったわね」とぽつり。
どうやら少し美しくしすぎた模様。
これは今晩もトモエさんはマリの口紅を選ぶ事になりそうです。

花は嵐

竹宮ジン先生の「花は嵐」
一言多い新人社員の嵐山と新人指導の花田さんのお話。

新人研修でストレスがたまった花田さんは
友人とGIRLSイベントへ。
フェムネコお持ち帰り希望指導がんばったご褒美にフェムネコをお持ち帰りしたいと
お目当ての子に声を掛けようとしたら
同じ子を狙う嵐山さんとかち合ってしまう。

場所を変えて問詰める花田さん。
嵐山さんも仕事のストレスを癒やしてくれる存在を求めていたとのこと。
しかし話が終わった時には、お目当ての子はお持ち帰りされてる最中であった。

あの柔らかさが私を癒やすの全てを包み込む柔らかき癒やしを失った花田さん。
理想を失ったことでちょっとめそめそ。

そんな花田さんを見て「この人、泣かせたいかも…」とS心疼く嵐山さん。
自分をお持ち帰りしますかと誘いを掛けて、逆にメロメロにしてやる作戦発動。

自分より胸の大きい同僚とは嫌だと突っぱねられるものの
この3ヶ月後には付き合う事になるそうな。
めでたしめでたし。

花田さんが嵐山さんに優位に立ててるビジョンが見えない(何
こういう最初は全然惹かれ合ってない2人が
付き合うようになるって過程を妄想するのも楽しい。

ただの金曜の夜

望月カイコ先生の「ただの金曜の夜」
社会生活でこころの花が枯れていく咲さんと、彼女の癒やしである舞のお話。

男とも軽口を叩き合える接しやすいサバサバ系行き遅れ
それが会社で貼られている咲さんのレッテル。

結婚する娘が出れば「どんどん追い抜かれていくなあ」
「急がないと咲ちゃんなのに咲き終わっちゃうよ」
などという言葉が男性陣から笑顔で投げかけられる。

発言してる本人達には悪意はなくとも刃を持つ言の葉なのは間違いない。
だが咲さんは気にしてない風かつ、軽口で反撃という貼られたレッテル通りの役を演じる。

私の価値を下げるとはまったく思わない結婚しないことも、歳を取ることも気にしてはいないが
自分に少しの嘘を積み重ねる咲さん。

枯れた心に酒という栄養を1人飲みで補給。
しかし、そんなもので心は完全に癒やされない。
駅前でもう一軒行こうかと思っていた所に
舞から家に行ってもいいか連絡に帰宅する事を決める。

家に帰るとおかえりと笑顔で迎えてくれる舞。
やめて泣いちゃうじゃんそんな彼女を抱きしめてただいまという咲。
一瞬間が空いてすぐさま、いいこいいこと咲の頭を撫でる舞。

「やめてよ泣いちゃうじゃん」
「泣け泣け」
こんな何もかもお見通しで笑顔で何も聞かずに甘やかして慰めてくれて
ビールも用意してくれてるとか、全社会人が求めてやまない聖母かな?

舞といるときの私が一番好き咲が言った好きを自分に向けて言われたと勘違いした舞さん。
私も…と言いかけた所で、自分が好きと言われて「自分かよ!」とツッコんで拗ねる。
告白かと勘違いした舞さん満更じゃなかった。早く付き合おう(何

舞といる時は一番好きな自然体の自分でいられる。
咲はそんな彼女に感謝するように、そっと背中にありがと…と小さく呟くのであった。
ありがと…ほんと舞といるときの咲さんの表情は柔らかい。
咲舞は正義。

舞のL○NEアイコンめっちゃ大人の女性って感じだったのが
咲宅で見せる笑顔も拗ねた顔も、咲にしか見せない表情感が増して最高。
いずれ2人が一緒になった時は
咲も会社で心削るダメージが軽減されるだろうか。

こういう百合を見ると舞視点からも欲しくなる欲張りマンは私です。

ラストは表紙の2人

この夢のアンソロ最後を締めるのは、やはり発行者である鹿嵐先生!
飲み会で酔った後輩と、それに付き添う先輩のお話。

一次会でフラフラになった後輩にコンビニで買ってきた水を手渡す先輩。
付き添ってくれる先輩の優しさをしみじみと噛みしめる。

そんな事を考えている時に、先輩から声を掛けられてドキッとする後輩ちゃん。
先輩がキスしてくれたら元気になるかもとっさに口から出たのは「先輩がキスしてくれたら元気になるかも」というもの。
一瞬キョトンとする先輩であったが
「困った子ね」と冷静に切り返す事ができるのは流石。

普通ならここで後輩ちゃんが穴があったら入りたい状態になる所であったが
そこは先輩にもアルコゥルの魔法が掛かっていたから大丈夫。

先輩は口紅を拭い取り、後輩ちゃんのほっぺにチュー
言い出しっぺながらも、あまりの出来事に酔いは醒めたが腰が抜けた後輩ちゃん。
こいつはもうご休憩するしかねぇ(何

強い思いを持つことで何事も成就できる

同人とか創作物すべてに言えることだけど
やはり作品そのものから作り手の情熱というものを強く感じる。

鹿嵐先生が社会人百合アンソロを欲したのは
つぶやきから判別するに2013年の事でした。
#ほしいその4年後に社会人百合アンソロはついに販売となるわけですが…

欲しいという思いから、その事について考え続け
ついに行動に移し、実現させてしまうという過程がまた面白い。

もし「○○のアンソロを作るにはどうすればいいですか?」という方がいたら
「欲しいと強く思い続ける事が大事」と鹿嵐先生を見て学べますね。

思い続けたら、次第にどうすれば実現できるか過程を考え始める
実現への道について考え続けると、だんだんと行動に移さずにはいられなくなる。

どの過程においても瞬間風速で一瞬だけがんばってもダメで
思い続ける→考え続ける→行動し続けるという
続ける事で前に進んでいくという当たり前だけど重要な学びです。

よくある成功哲学で目標達成に向けて本気で行動してる人には
必要な助けに巡り会うみたいなの言われるけど
鹿嵐先生の元に集まった他の先生方の存在がまさにそんな感じだったのではと予想。

社会人百合を楽しんだ後で、出来上がるまでの背景について勝手に思いを巡らせてしまった。
このアンソロの存在自体が一種のサクセスストーリーのような
そういう楽しみ方もできてお得です。

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そして鹿嵐先生のコミックス「シュガールーム」も絶賛発売中。
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そして当ブログでのシュガールーム紹介記事はこちら。

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